YAPC::Kyoto 2023に一般チケットで参加してきました。YAPCに限らず技術者の集まるリアルイベントへはこれが初参加で、さまざまな大変良い機会をいただいて帰ってきました。
ついでに自分の観光旅行も混ぜ込んで、楽しい2泊3日を過ごしたのですが、それはまた別のエントリーで。
YAPC::Kyoto 2020の時はスタッフをやろうと思ってた
YAPC::Kyoto 2020の開催が決定してからは、「Perlコミュニティへの恩返しをするぞ!」と考えてスタッフとして参加すべく、大変楽しみにしておりました。
しかし、新型コロナウイルスの流行と延期決定。その後はYAPC以外のイベントもどんどんクローズ・シュリンクしていって、オンライン開催がいつの間にか「普通」になり、なかなかどこかに参加する機会が見つけられずにいました。
そしてYAPC::Kyoto 2023の開催が決定! 念願叶ってスタッフとして参加を……と考えましたが、コアスタッフの募集がかかった際には時間を捻出する自信がなく断念、当日のボランティアスタッフ募集の時には体調を崩しておりまして、これまた断念する結果となりました。一般参加なら1日京都に行けばいいから(この時点では日帰りを考えていた)なんとかなるやろ、とチケットを確保。スタッフとしてのイベント参加はできないものの、当日を指折り数えて待ち構えていました。
なんで「Perlコミュニティへの恩返し」なのか
toyaさんがYAPCにいるの感慨ふかいっす…
— Daisuke Maki (@lestrrat) 2023年3月19日
lestrratさんにこういってもらえて本当にうれしいです。
非エンジニアであり、Perlを書くわけでもなく、その他プログラミング言語にもなじみのない自分が「Perlコミュニティへの恩返しとしてYAPCを盛り上げたい」とずっと考えていたのは、私の職歴が関係しています。
2005年、ITとは関係のない仕事に就いていた私が当時絶賛人員募集中だったライブドアに入社するきっかけを作ってくれたのは、同じくライブドアに当時在籍していた@lestrratさんこと牧さんでした。牧さんといえば皆さまご存じの通り、YAPC::Asia Tokyoの運営を続けてきたPerlコミュニティの立役者。そして、当時のライブドアには@miyagawaさんもいらっしゃって、Perlの会社としての存在感が強くありました。牧さん・miyagawaさんともに在籍がかぶった期間はほんのわずかではありましたが、その後約1年10ヶ月ほど勤めました。エンジニアが活躍する会社に所属してエンジニア文化の一部を吸収できたことは、その後の私の職歴と思考に大きな影響を与えました。
いわゆる「エンジニア文化」への私の憧れやリスペクトは、ライブドア、次の会社、そしてその次の会社(現職)でも引き継がれていきました。エンジニアがどのようなことを考え、どのようにサービスについて考え、どのような環境が望ましいと考えているかについて、ライブドア所属時に出会った「はてなブックマーク」で吸収できました。身近なITエンジニアにとにかく愚直に質問することをいとわなくなりました。彼らは素直に学ぶ人には本当に優しく、根気よく、親身になって教えてくれるのです。人による部分もあるとは思いますが、私が出会った人たちは概ね一致していました。そして、その触れた断片が後々の仕事で生きることにつながりました。
Perlコミュニティには所属していなかったけれど、Perlコミュニティで育まれた文化から得るものは大変大きかった。いわゆる「ハッカー」たちの生き方や仕事、キャリアに興味を持つきっかけにもなりました。十分な恩恵を受けてきた自分は、いつか恩返し……というよりは恩送り(ペイフォワード)をすべきだし、やっていきたいと思っていました。しかし、いろいろなタイミングがあってYAPCへ参加できるタイミングが合わず、やっと巡り会えたチャンスがYAPC::Kyoto 2020(YAPC::Kyoto 2023)だったのです。
参加してみてどうだったか
せっかく一般チケットで参加するなら、思い切り自分の「個人的興味・関心」を軸にして楽しもうと思いました。とにかく自分の好きなものを見まくった。どれもめっちゃ楽しかったです。技術のことは正直わからないことが多々あったけど、それでもWeb界隈で働いているので、雰囲気や温度感はわかります。うなずいたり笑ったり身につまされたりしました。
以下、公式タイムテーブルよりピックアップします。
小さく始め、長く続けるOSS開発と貢献(Songmuさん)
OSSへの貢献はどんなやり方でもできるという話(まとめすぎているので、資料がアップされたら書き足します)。プルリクは出せなくても、非エンジニアでもどこかしらやっていける領域もありそうだ、と思えました。
地方のエンジニアが作る日本のITコミュニティの未来(東岡和也さん)
YAPC::Kyoto 2023に参加し、初登壇してきました - Tooka_91’s diary
地方に住むエンジニアが増え、各地域でITエンジニアのコミュニティは活性化するだろうと私は勝手に考えていたのですが、そう簡単なことばかりでもない、という話。いろいろな視点をいただきました。
日常業務のカイゼンで図る開発チームへの貢献(kolukuさん)
目の前の仕事にいっぱいいっぱいになりがちな自分にとって、良い意味で「うっ」となったセッション。聞いた方が早いこともある、自分が一番効率が悪い方法を取っていた、よくありますね。エンジニアリング以外への分野への応用を考えていきたいと思いました。「自分がイラッときたことをメモっておく」が一番良さそう。
ORM - Object-relational mapping(Takafumi ONAKAさん)
中身はわからないながらも、@onkさんの発表がとにかく聞きたくてやってきたセッション。プレゼンがめちゃくちゃうまいし、登壇時の立ち居振る舞いなども参考になりました。自分が賢くなったと錯覚させてくれる、1つステップを上がった感じになる発表でした。
あの日ハッカーに憧れた自分が、「ハッカーの呪縛」から解き放たれるまで(あらたまさん)
YAPC::Kyoto 2023でベストトーク賞をいただきました #yapcjapan - たまめも(tech)
ベストトーク賞おめでとうございます! 自らのキャリアに関する細やかな言語化、抽象化などが伝わってくる素敵なセッションでした。ハッカーへの憧れが一周回って自分の手元に「ある」と思える締めくくり、得心しました。
【ゲスト】ソフトウェアエンジニアリングサバイバルガイド: 廃墟を直す、廃墟を出る、廃墟を壊す、あるいは廃墟に暮らす、廃墟に死す(川上 大喜さん)
私の気持ちが死屍累々になりつつも希望を得られるまで、という感じの内容。moznionさんのちゃんとしたプレゼンをたぶん初めて聞いたのですが、めちゃくちゃうまくてかっこよくてびっくりしました。そりゃ緊急来日だ!
【ゲスト】法と技術の交差点(上原 哲太郎さん/宮脇 正晴さん)
個人的に最高に勉強になったのがこちらのセッション。業務上著作権について少し勉強する機会があり、「短いコードは著作物にはならない」というところから「コードの組み合わせには個性があるので著作物と認められればいいが、そこが今は曖昧だ」という話があり、なるほどーとなりました。ChatGPTと法律の関わりなど、聞けば聞くほど「今から私は法学部を受験して著作権について学びたい」と思ってしまいましたね……。そうもいかないのでキャッチアップしていきます。
法と技術の交差点、母校にはこんな面白い先生方がいるんですよという強い気持ちでやりたかった企画だったんですが実際に楽しんでもらえた方々の様子を見れてめっちゃ嬉しくなりました(登壇していただいた宮脇先生、上原先生、司会の@pastak さん本当にありがとうございました)#yapcjapan #yapc_sb
— 桐生あんず@新刊BOOTHで出てます (@anzu_mmm) 2023年3月19日
ということで #yapcjapan の「法と技術の交差点」ほとんど立命館セッションでしたが、お楽しみいただけたでしょうか。立命館は京都法政学校を源流とする法学に強い大学ですが理系も頑張ってますし国際化も頑張ってます。企画ありがとう > @anzu_mmm 司会の @pastak くんのトーク力も光ってました。 https://t.co/prFAJeEZMX
— 上原 哲太郎/Tetsu. Uehara (@tetsutalow) 2023年3月19日
企画ありがとうございました!
どこでも動くWebフレームワークをつくる(Yusuke Wadaさん)
YAPC::Kyoto 2023に参加してきた - ゆーすけべー日記
@yusukebeさんの発表って聞いたことなかったな……と思って選んだこのセッション、内容を理解するには至らなくても、どこにどのようなポイントがあって何が良いところなのかがぎっしり詰まっていて、めちゃくちゃ面白かったです。dankogaiさんとのやりとりもしびれた。
ゲスト(小林 篤さん)
このタイトルだけ見て@nekokakさんのことだって思います? 私は何も知らずにyusukebeさんのセッションを聞き終えてそっと着席して驚きました。そして目の前の席に@uzullaさんがいてもっと驚きました。tweetではちょっとぼかしている。
nekokakさんのトーク聞いてたら割とすぐ前にuzullaさんがいて、ちょっと前にはmiyagawaさんもお見かけして、なんかこうYAPCだなーって感慨深い#yapcjapan #yapc_sb
— toya (@toya) 2023年3月19日
そうそう、このちょっと前にmiyagawaさんも遠くから見かけて「おおーこれはすごい」と感慨にふけっていたのでした……。
ライトニングトーク(karupaneruraさん/nasa9084さん /永島薫さん/nuggedさん/Shunさん/tkzwtksさん/moznionさん)
ひたすら早口でしゃべり倒すスタイル、銅鑼パーソン、これこそリアルイベントだなと思って楽しく聞きました。@nuggedさんの「フィンランドの図書館システムがPerlで動いている話」やYAPC::Europeの話を拾い切れてないので、ここはちょっと書き足すかもしれません。
キーノート(大西 康裕さん)
YAPC::Kyoto 2023 に参加し、キーノート喋ってきました裏話 - 大西ブログ
よかった。これは動画で見るべきだと思う(というか、onishiさんご自身が書いている通り「資料に書いてない喋った内容が本題」なので、資料だけ見てもよくわからないはず)ので、興味のある方はぜひ動画でご覧ください。とにかくよかった。
エモい、といってしまえばそれまでだけど、エモい中には無数の努力と試行錯誤が詰め込まれているので、途中でmiyagawaさんの言葉を引いてonishiさんが声を詰まらせた時にはちょっと泣いてしまった。
ノベルティ
写真紹介などは他の方のエントリーにお任せしますが、たくさんの楽しいノベルティをありがとうございました。キーホルダーがお気に入りです。センスいいなぁ……。タオルも2枚多めにいただいてしまいました。ありがとうございました!!
次のYAPC::Japan(YAPC::Hiroshima?)
今度こそはスタッフをやりたいと思っているし、id:papixさんにも既に意思を表明しました。私にもどうやらお役に立てそうな分野がありそうです。そのためには、体調管理が本当に大事だし、管理とひとくちに言っても「向上」ではなく普段からの「維持」がとにかく大切なので、ご自愛しまくって生きていきます。できることから役に立ちたいと心から思いました。
YAPC::Kyoto 2023のスタッフの皆さま、お会いした皆さま、ありがとうございました
実行委員長のid:azumakuniyukiさんは「ネコ物質さん」としてしか認識していなかったので、当日のオープニングでTwitter経由で概念と実体がつながった時には心からびっくりしました。完全にネコ物質さんだった、油断していた……。id:papixさんには、スタッフ参加の話から広島へのスタッフ参加の話、それ以外の細かい話までいろいろとフォローしていただきました。ありがとうございました。そしてスタッフの皆さま、大変お世話になりました。
ひとりひとりお名前を挙げると大変なのですが、ほんの少しだけライブドア在籍期間がかぶっていて、その後も一方的に尊敬している刺身さんこと@kyannyさんと同じ空間にいられたのは大変幸せなことでした。ご挨拶しようと思ったけどうまくつかまえられなかったので、また何かの機会でご一緒できればうれしいです。前日に行ければよかったのですが……。
YAPC::Kyoto 2023 Reject Con で発表した #yapcjapan - @kyanny's blog
あとはやはりid:onishiさんのキーノートの存在感が半端なかったです。この内容を「エモい」で片付けてはいけない、我々は未来へと向かっているのだ!!!!と思うようにしていたけど、
「YAPC::Kyoto 2023」お疲れさまでした!!! - Masteriesb.hatena.ne.jppapixに頼まれなかったらキーノートなんて引き受けなかったよ!お疲れ様でした!
2023/03/21 00:16
エモすぎるでしょこれは……。キーノート、本当にお疲れ様でした。