Really Saying Something

雑文系ブログです。

#家を売る



私自身は家の売買をしたことがない(ということになっている)。

夫は義父が亡くなった時に、大阪のマンション一室を相続した。夫にとっての実家であり、18歳まで暮らした部屋である。

賃貸に出して手元に置くことはできた、しかし夫はその時点で大阪から東京に転勤することが決まっていた。夫は相続したマンションの一室を売却することに決めた。知り合いのつてで紹介してもらった不動産屋さんに行き、リフォームまでを済ませた状態で売りに出す。本当にタイミングがよかったのか、しばらくして入居したいという人が訪れ、つつがなく売却を済ませた。

このあたりの記憶は、義父が亡くなって諸手続に追われていたころの記憶とかぶるので、全く私のものはあてにならない。が、鮮明に覚えていることが一つだけある。

リフォームに出す時、実家の中のものをいちいち片付けるのが時間的に不可能で、少しだけ着手はしてみたものの、価値がわからずお手上げという状況に陥ってしまっていた。古いアルバムなど、資料的価値のあるものもたくさんあったと思うけれど、何しろ時間がなかった。夫はすべてをリフォーム業者にゆだねて中のものを処分してもらうように依頼し、結果としてきれいになった部屋が売れたのだから、結果として万事丸く収まったのだ。

リフォーム業者に部屋を明け渡すとき、夫は玄関のドアを閉める直前に、部屋の中に向かって「バイバーイ!」と大きな声で言って、手を振った。

その時はっきりと私の胸は痛んだ。この人にとっての実家は、あんまりいい思い出はなかっただろうけど(そしてその時は相続のごたごたで精神的にもかなり追い詰められていたのだけど)、この時点で永遠にお別れになってしまうのだ。

私は借家住まいで育ち、家に対する感覚が希薄だけど、私には想像できない思い入れや感情があるに違いない。

そこから実家のことを懐かしむことはなかったけれど、都内で中古の分譲マンションを買うことになった。根を張る場所が欲しいというような意味のことを言っていて、私は賛同した。そういうマインドで大きくなってきた人には“実家”は必要なのだろう。そしてその“実家”は、私と夫で作るものなのだ。

……と言ってみた割には、家の中にはものが多く、はっきり言えば“汚部屋”なのだろうけど、それでも家があるということは何らかの精神的な支えにはなっているのだろう。

今後の課題はその家をどうやってきれいにしていくか、なのだけど、それは今は考えずに目の前のものを片付けることに集中しようと思う。

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by よくわかる!不動産売却 不動産売却の基礎知識を解説